自然がつくるシルバーグレーという色

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 あなたはどんな色が好きですか?

 その時の気分を表す色、暖かさや冷たさを感じさせる色、自分に似合う服の色。

 当たり前ですが、世の中には色んな色がありますが、ヒトが目と脳をフル稼働させて見分けられる限界・色の数は数百万色とのこと。

 言うなれば、ヒトが認識不可能な色の種類も含めれば、無数にあると言えますね。

 中でも僕が好きなのは、シルバーグレイ。

 「銀髪」「いぶし銀」と言う言葉で高齢者を連想させることもありますが、屋外に晒され、樹種によっては正に銀色となる様は別格の風合いと言えます。

 ただ、その風合いは良くても、建物にとっては良いことばかりでは無いようです。

 木材の色を変化させる要因はたくさんありますが、最も大きな影響を与える一つが光です。

 長時間にわたって強い日差しに晒される部分は大きく変化します。

 その光にもさまざまな種類が存在しておりそれぞれ波長が異なり、特に木材の変色に最も関係するのが紫外線であることはよく知られています。

 木材成分の中でも光に敏感なリグニンという成分が紫外線を吸収することで化学変化を引き起こし、成分の分解が始まり最後には変性していくのですが、その過程で木材の色も変化してしまうのです。

 ただ、これだけでは木部はグレー色にはならず、色が濃くなったり色斑等が出来てきます。

 そこで、シルバーグレー化原因となるのは光だけではなく雨も関わってくるのです。

 変色物質であるリグニンは光に敏感なだけではなく、水にも溶けやすい性質も持っています。

 そのため、雨に晒される場所に置かれた木材は、濡れるたびに木材中からリグニンが流れ出てしまい、色素が流れ落ちることでシルバーグレー色になっていくのです。

 色が変化するだけではありません。

 リグニンは木材中の20~30%を占める物質であり、木材組織を補強する役割を果たしています。

 大量のリグニンの流出は木材組織の弱体化につながり、木材そのものを劣化させもろくなってしまいます。

 そして、組織が不十分となった木材は歪や割れが起こり、菌や苔が発生する場合もあります。

 しかしながら、その風合いを維持する為には、やはり定期的な塗装などメンテナンスは欠かせませんし、褪色した材料をしっかりと乾燥させたり、クリア塗装などの処理を施した上で、内装や雨のかかりにくい場所に使用することは可能です。

 自然にしか作り出せない「色」が生活の一部となった風景も、僕は素敵だなと思います。 

 

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